狩猟2/1犬 2足 3鉄砲 狩猟技術



狩猟で手に入る動物の肉は、早川に住む人々にとって貴重な栄養源だった。猟師である親や友人からその技術を学び、今も山に入り続ける男達がいる。

猟は経験が必要であり、獲物を追い走ったとしても、迷わずにいられるような慣れも必要であり、死と隣り合わせでもある。
この技と経験を継ぎたい者には、たまらない山なのかもしれない。


この日集まったのはメンバー12人のうち8人。年齢は下が27歳から上が75歳までと幅広い。
猟犬を引き連れ、肩には銃がかけられている。そして、一様に緊張と期待の入り混じった表情をしている。
午前9時頃、それぞれが位置につき、セコの荒居さんからマーを放したという無線が入る。猟の始まりだ。

(略)まもなく12時になろうかという頃、何かが跳ねるように軽やかに、川の上流から下りてくる。来た。鹿だ。体長1mくらいだろうか、1本角のオスの鹿が、50mほど離れた所にいる。もう十分、射程内だ。鹿に向かって背を向けていた一比児さんはひらりと体をひるがえし、軽く足を開いて立つ。銃を構える間もなく、ドーンという大きな爆発音が響き渡り、体が衝撃で後ろにのけぞる。


猟犬たちがイノシシを追い詰める

早川の猟師の間には、『1犬2足3鉄砲』という言葉がある。

まず、その嗅覚と脚力で獣を追う犬、その次に犬を山に連れて行く人の足、そして、獣を撃つ鉄砲の順番で猟には大事、という意味だそう。とにかく、優秀な犬がいれば、猟はほぼ成功する。

猟師たるもの、状況をよく把握し、瞬時にしかも冷静に判断しなければならない。少しでも判断を誤れば、ケガどころでは済まないかもしれない。猟師は、それが猟のおもしろさだと言う。

この緊張感を楽しむ余裕は、長年の猟の経験と、山をよく知っているからこそ生まれるものだろう。

21号「山の民と狩猟」より)

仲間たちとともに特別なしつらえで山に入っていく男たちはとても格好いい。
そして、小屋での宴は、秘密基地に入っていく少年のような一面ものぞかせる。きっと狩猟の魅力は、強い信頼関係で結ばれた分かち合える仲間と共に、男の夢とロマンを追い続けられる所にあるのだ。

長年付き合う猟仲間と早朝に集まり、今日の猟について打合せ


参照:山人ルーツ(vol.0)

早川の人々の「たくましい生き方」の記録。
早川の生活文化を取り入れた、楽しく、豊かな暮らし方を伝えること。
人口減少や生活様式の変化によって昔ながらの暮らしが失われていく中、この2つの意味を込めて発行しています。

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