14/早川正治の生き方

早川正治の生き方 山のきのこに魅せられて

芳醇な出会い
秋山の荘厳な風景を臨みつつ、車を走らせること30分。早川町の中程、早川集落へと架かる早栄橋のたもとに、美味しそうな薫りで観光客の足を引き止める一軒の露店がある。
露店にならぶのは、種々の茸。
ぷっくりと肉厚の椎茸、傘も大きく育った艶やかな滑子(ナメコ)、軸までふっくらと肥えた栗茸。
店頭には鉄板が用意され、ふつふつと沸いた油で茸が焼かれている。辺りに漂う芳香の正体はこれだ。「よかったら、食べていきなよ」生真面目そうな出で立ちの店主が誘う。眼鏡の奥の眼光に、どことなく職人の匂いがした。
誘われるままに椎茸をひとつ摘む。厚い傘の内側から滴る露に舌が踊り、思わずもうひとつ、と手が伸びた。聞けば、茸の採集と栽培が生業だという。道理で美味い。流れる川音を背景に、時折はぜる茸を眺めながら、ふつふつと興味が湧いた。

 

おばあちゃんの試してレシピ③

今回は2品とご紹介。どちらも、ナメコを家庭で育てている早川町民ならではのレシピです。炒め煮は、ピリッと七味がきいて、お酒のつまみに最適です。奈良田の名湯、白根館の女将さんに教えて頂いたレシピ。簡単にいえば、鶏肉の代わりにナメコを入れた親子丼。半熟卵にナメコが加わって、つるつる感が倍増。ナメコのぷるぷるとした食感も嬉しい、新感覚のどんぶりです。

ナメコの炒め煮

■材料
・ナメコ…200g
・サラダ油…大さじ1
・醤油…大さじ1
・砂糖…大さじ1/2
・七味唐辛子…適量

■作り方
①水洗いしたナメコをフライパンに入れ、火をつける(弱火)。
②なめこの滑りが泡立ってきたら、茹でこぼすか水洗いし滑りを取る。
③フライパンにサラダ油をひき、ナメコを炒める。
④醤油、砂糖を加え、弱火で味を絡ませる。
⑤皿に盛り、お好みで七味唐辛子をかける。

ナメコの炒め煮

ナメコの卵とじ丼
■材料(2人分)
・ナメコ…100g
・玉ネギ…1/2個
・卵…2個
・三つ葉…少々
・煮汁…お玉2杯分 ※市販のめんつゆを、うどんやそばのかけ汁程度に薄めて使うと簡単です。
・ご飯…丼2杯分

■作り方
①底の浅い鍋に煮汁を入れ、煮立たせる。
②1cm幅に切った玉ネギを加え、弱火で透き通るまで煮る。
③ナメコを加え、さらに煮る。
④ナメコに火が通ったら、溶き卵を流し入れ、三つ葉をちらし、フタをして火を止め卵が半熟状態になるまで蒸らす。
⑤丼に温かいご飯を盛り、出来上がった具をのせる。