地域全体を博物館にみたてる「フィールドミュージアム」

「フィールドミュージアム」とは、その土地の歴史・風土・文化そのものを博物館又は美術館に見立て、住んでいる人と訪れた人が互いに価値を発見していく仕組みを言います。

フランスで始まった「エコミュゼ」とその理念は同じで、いわゆるハコモノといわれる従来型の博物館に対して、地域全体を博物館にみたてた住民主体型の博物館活動であることが特徴です。

早川町では、このフィールドミュージアムを、地域に存在する自然環境/生活文化/有形無形の文化財など、地域の様々な資源を住民自らが掘り起こし、守り、残し、伝えながら地域の未来を考え行動していく地域づくりの手法と捉えています。

山村の価値を後世に受け継ぐために

早川町は山梨県の南西の端、静岡県との県境に位置し、標高3,000mを超える南アルプスの山懐に抱かれた山村で、その谷間に富士川の支流でもある早川が流れます。総面積は約370平方km。その96%を山林が占める「やまだらけ」の町で、人口は約1,300人と「日本で最も人口が少ない町」としても知られています。

ただ、こうした地理的特殊性から、町内には自然、歴史、生活文化等、有形無形の様々な資源が存在します。早川フィールドミュージアムでは、こうした地域独自の資源を再評価するとともに活用しながら、早川町ならではの地域づくりに取り組んでいきたいと考えています。

以下に、早川町の特徴を古くから使われてきた「3つの言葉・方言」を使って説明します。これらは、早川フィールドミュージアムのメインテーマにもなっている、重要なキーワードです。


早川の人々は、厳しくも豊かな自然環境『早川入り』のなかで、万能の知恵と技術『まんのうがん』を身に付け、相互扶助の精神『ゆうげぇし』で力を合わせたくましく生き抜いてきました。今でも、そうした暮らしの精神が早川のあちこちに息づいています。

かつてはどの山村にもあった暮らし。時代の流れとともに消え去りつつありますが、振り返ると、これら山村の暮らしには大きな価値があることに気づかされます。

私達は、早川の暮らしからその価値を「山の恵み/自分でやる/自然と共生/絆/先人の教え/感謝と充足」の6つに整理し、未来につなぐために発信します。