苦楽を越えた絆に安心 ゆうげぇし1/手を貸し合うこと お互いの生活のために助け合う


「ゆうげぇし」は、漢字では「結い(※)返し」と書く。早川町における地域社会の有り様を表す言葉であり、労働交換のことを指す。

「ゆうげぇし」を支える価値観は、相互扶助と共同作業。山奥の険しい環境の中、屋根の葺き替え、田植えや稲刈りなど、自分一人ではできないことは、まわりの人々と労働力を出し合い、乗り越えてきた。

例えば、味噌の仕込みも共同で行った。集落には共同の大きな釜があり、各自が豆を持ち寄りその釜で一度に煮んだ。一晩、火を絶やさないように番をしなければならないが、小屋の中でお酒を飲みながら語り合う楽しみの場でもあった。

田植えや稲刈りを手伝ったり代行したりする「おすけっと」、また「村仕事」「郷役」などと呼ばれる水道や生活道の管理に関する共同作業は今でも行われており、年に数回、集落総出で道の草刈りや、セギ(水路)の掃除も集落全体で行う。

「ゆうげぇし」とは呼ばれないものであっても、助け合いと共同作業は、今も早川町の暮らしの様々な場面で見られる。

 

※結(ゆい)とは、主に小さな集落や自治単位における共同作業の制度である。一人で行うには多大な費用と期間、そして労力が必要な作業を、集落の住民総出で助け合い、協力し合う相互扶助の精神で成り立っている。-wikipediaより-