42/茂倉の絆

茂倉の絆

夏祭の日。朝8時、国玉神社の境内に続々と男性が集まってきて、相撲大会に向けた土俵づくりが始まります。普段は外に住んでいる帰省中の若手も、作業に加わります。作業も終盤、土俵に木屑がまかれると、あたりは何とも言えない香ばしい匂いに包まれます。「夏だなあ。茂倉だなあ。」茂倉出身の人は、この匂いをかぐとそう思うそう。相撲は夏の茂倉の象徴です。
午後、デンデンデンデンと村中に響く太鼓の音に、大勢の人が境内に集まり始めます。いよいよ相撲大会です。「はっけよーい、のこった!」相撲をとる約20人の子供力士たちの中には、去年負けてしまった悔しさからお父さんを相手に稽古をつんで来た子もいます。見守る大人たちは、「あれは誰の子か?」などと言いながら、子供たちの成長に目を細めます。
日常的に暮らすのは高齢者が多くなり、普段はひっそりとした茂倉。境内に集まった子供力士たちは、茂倉で育ち今は集落を離れて暮らすお父さん、お母さんの子供たちです。外へ出ている人々が子供や孫を連れて帰ってくる季節ごとの行事の日は、茂倉の人口が普段の10倍になったかのように活気あふれる一日となります。