77/川に未来をみる

川に未来をみる


山梨県早川町。南アルプスの麓の山深いこの町の真ん中には、その名の通り早川が流れ、お隣、身延町で富士川に注ぎこむ。そんな早川・富士川を舞台にしたラフティング(川下り)の会社「本流堂」を営んでいるのが大窪毅(たけし)さんだ。
大窪さんを取材するため、ゴールデンウィーク中のよく晴れた日の昼過ぎ、早川町千須和のベースに赴いた。まさに「緑滴る」と表現したくなるような千須和の集落の入口付近に、「ADVENTURETUERS HONRYUDO」の看板。建物は木の質感が印象的だ。庭先には、ラフティング用のボートやダッキーと呼ばれるカヌー、ライフジャケットやヘルメットが置かれている。事務所には、ハンモックも吊るされていて、少年が1人お昼寝中だ。このベースは、昨年、大窪さんが仕事の傍ら自分で改修。木と手作りの温かみを感じる、おしゃれな空間になっている。
大窪さんは、勤めていたラフティングの会社を独立し、2010年に早川町に移住し、本流堂を立ち上げた。以前、早川を下った際に「面白い!」と感じ、独立するなら絶対に早川で、と思っていたのだという。そんな夢をかなえた大窪さん。リバーガイドという職を選び、早川で独立したその想いを聞かせていただいた。

 

今も息づく土地と人の関わり 1

施餓鬼(せがき)と虫おくり(古屋集落)

8月1日~8月17日までと、集落によって日はまちまちであるが、この日は村中お寺へ集まりお経を唱えて施餓鬼をする。そして水死者の供養に供物、青竹に紙の旗を付けたもの、塔婆を川に流す。

施餓鬼の経文の文字も、5字ずつ書いた色紙の小旗をたくさんつくり、サンダワラに米飯を盛った上に立てて供えるが、この小旗はもらって帰り、大根畑、菜畑などに立てれば虫がつかぬといい、これを「虫送り」とか「虫封じ」と呼んでいる。
(『早川の郷土芸能(年中行事)』早川町教育委員会 より抜粋)

 

 

 

 

 

写真 鹿野貴司