89/待望の永久橋ができるまで

待望の永久橋ができるまで

 急峻な山々に囲まれる早川町。その真ん中を急流、早川が流れている。基本的には早川を境にして各地区・地域は分けられている。現在は、県道南アルプス公園線から榑坪まで繋がる鷲尾橋にはじまり、町内には数多くの橋が架けられている。町内の移動にも当たり前のように通行し、町内で生活する上で、橋はなくてはならないものである。

 けれども、昔は、五箇地区と本建地区のようにそれぞれすぐ向こうに見えるのに、急流早川に阻まれていた。そして、今までに何度も大雨や台風で流されてきた過去がある。そして、より頑丈な橋を作り、集落で管理をしてきた。きっと多くの人は、「大雨にも台風にも流されない立派な橋が欲しい。」と強く思っただろう。つまり、現在の橋はこういった早川町民の心を代弁したものだと考えられる。

 今号では、その橋の中で、弁天堂を中間に臨み、弁天島を境に橋の形が違う千須和から小縄に架かる「弁天橋」と、名前のいわれに興味を抱く西山温泉の下流に位置する「見返橋」にスポットを当てた。集落の歴史や当時のエピソードを交えながら、集落の方は、その時代をどう過ごし、乗り越えてきたのかを考える。

 

早川の今昔をお届け! やまっこ探検隊! やまっこの冒険

No.07 早川南保育所 もりもりキッズ

 早川南保育所は、昭和62年に設立しました。現在は町内で唯一の保育所で、園児は全部で9名。2019年4月から20代の男性保育士が2名入り、フレッシュになりました。

 5年ほど前から始まった「もりもりキッズ」は、ヘルシー美里のスタッフが自然や生き物について教えてくれる、月に1回行われている年間行事の一つです。今回は、2019年4月のプログラムに同行してきました。また、早川町で生まれ育ち、お子さん3人のうち2人が南保育所を卒園し、末っ子が在園中の望月さんに、保育所の今について伺いました。

●「もりもりキッズ」に同行して

4月の「もりもりキッズ」は、野鳥公園に出向き、鳥や巣箱の中の様子を観察するプログラムでした。前半は、建物の中からガラス越しに、どんな鳥が飛んでくるかを双眼鏡を使って探しました。鳥を発見し、「見つけた!」と嬉しそうに声をあげる園児達に、「こんな特徴のあるものがお父さんで・・・。」と説明していく野鳥公園のスタッフ。後半は、以前の「もりもりキッズ」でかけた巣箱の中をピンセットで少しずつほどきながら、見ていきました。コケや棉、鹿の毛などからなっていました。親鳥がせっせと口ばしで運んだのですね。子ども達は自然に興味を持ち、見て、触って、知る事ができているのだとよく伝わってきました。年間のプログラムは、時期や園児の興味に合わせて決めていき、年間を通し自然に触れる機会があります。

●保護者に聞いた南保育所の魅力

望月さんの思う保育所の魅力は、「少人数なので、保育士さんの目が子どもに行き届きます。異年齢同士の活動が多く、毎日の生活の中で自然に学力や社会性が身に付いていると感じます。」と話されていました。「もりもりキッズ」に関しては、「大自然の中、専門のスタッフが様々な発見や遊びを教えてくれます。また、野菜嫌いだった子どもが『もりもりキッズ』でヨモギを天ぷらにして食べてから、家でも食べるようになりました。」とおっしゃっていました。でも、「年に数回、雨で県道が通行止めになると保育所まで迎えに行く事があり、仕事をしている人には大変かもしれません。」ともおっしゃいました。子どもの数が減り、保護者も危惧する事も多いでしょうが、上流研としても何かしらの形でお役に立てられればと思います。