32/早川ファッション通信

早川ファッション通信

南アルプス街道の中ほど、野鳥公園の入り口に、おばあちゃんの顔が描かれた看板が目印の、その名も「おばあちゃんたちの店」があります。ここは、地元の女性たち6名が力を合わせ、遊休農地を利用して栽培した農作物や漬物、その他町内の特産品などを売っているお店です。そして、お店の向かいの畑では、おばあちゃん達がなにやら作業中。そう、今日はお店でも人気商品のエゴマの収穫日なのです。
てきぱきと働く、おばあちゃん達。帽子をかぶっていたり手袋をはめていたり、はたまた花柄の服を着ていたりと、人によって実に様々な姿。思い思いの服装で楽しそうに働く様は、見ていて気持ちがいい。
おばあちゃん達の着ている作業着は一般的に「野良着」と呼ばれ、かつては木綿を織って作った「かすり」や「もんぺ」が用いられてきました。しかし、昭和30年代頃から新しい繊維を使った洋服型のものが現れ、機能性とともに、ファッション性も高められてきました。
巷の本屋には、数多くのファッション雑誌が立ち並んでいますが、早川にはそんな本には決して載らない、おばあちゃん達だけの野良着ファッションがあります。
今号では、今どきの早川のおばあちゃん達の野良着トレンドを、余すところなく紹介します!

 

はやかわのとうげみち4

伝付峠(でんつくとうげ)

早川町新倉ー広河原ー伝付峠ー井川・二軒小屋

伝付峠は、早川町と静岡県井川との境にある、標高2020mの峠である。新倉から二軒小屋への峠道は、生活道とは言い難いが、歴史の中で様々に用途を変えて利用されてきた。
今から120年ほど前には、身延町切石から伝付峠を越えて長野県の伊那まで行く「伊那街道」の整備が行われた。駿河湾の鮮魚をいち早く伊那谷に届けるための街道整備であった。街道は明治19年に完成したが、管理が困難なことなどからほどなく廃れてしまったという。
大正10年ごろ、田代川第1、第2発電所の建設が始まった。この建設資材を運び上げるための索道に使うワイヤーを、人力で背負い上げた。長いワイヤーを切らずに運ぶため、1人が何巻きか背負い、次の人がまた何巻きか、そのまた次の人が何巻きか…と、数珠繋ぎになって運んだということで、1人が転ぶと、皆、転んでしまったそうだ。
昭和8年になると、東海紙料の会所が二軒小屋に移転してきて、物資運搬などでこの道が利用されるようになった。峠道の前半の広河原までは、地元・新倉が専属的に物資運搬の仕事を請け負ったという。
こういった用途は、次々に整備される交通手段によって、いずれも過去のものになってしまった。ところが、現在、計画が進められているリニア中央新幹線は、伝付峠の下をトンネルで通り、南アルプスを貫通する経路が候補の1つに挙がっている。
伝付峠の歴史に、新たなページが書き加えられる日が来るのかも知れない。

 

おばあちゃんの試してレシピ10

お正月に欠かせない早川の味 大根の柚子巻き

早川町ではお正月に作られる柚子巻き。柚子の香りが生きたさっぱりとした一品です。大根に柚子を巻いてさらに干したり、大根を干さずに塩もみしたり、地域によっていろんな作り方があるようです。今回ご紹介する作り方は、おばあちゃん達の店のおばあちゃん直伝。おせち料理に加えるもよし、ふだんの食卓にもよし、お茶請けにもよしです。

■材料
大根(中) 1本
柚子の皮 1.5個分
昆布 適量
酢 150ml
砂糖 大さじ3
塩 小さじ1.5

■作り方
1.大根の皮をむき、2mm幅にスライスする。
2.スライスした大根をしんなりするまで干す。(半日~1日)
3.柚子の皮を千切りにする。
4.大根に柚子の皮の千切りを1~2本ずつ乗せて巻き、つまようじで留める。
5.ところどころに昆布を散らしながら大根を容器に詰める。
6.酢、砂糖、塩を混ぜたものを容器に流し込み、軽く重石をして空気にふれないようにしておく。約1日で味がなじみます。