86/本物の自然を伝える。

本物の自然を伝える。

涼しげな表情で業務にあたっているかと思えば、ふと見せる屈託のない笑顔で親しみやすさが感じられる、戸田美樹さん。

6年前に東京の多摩から早川町に移住し、南アルプス生態邑でネイチャーガイドとして働いています。

日常的に早川町の自然に携わる戸田さんの仕事や暮らしを通じて、早川町の自然の魅力や環境にフォーカスすると共に、
人との関わりについて考えました。

 

 

 

早川の今昔をお届け! やまっこ探検隊! やまっこの冒険

No.04 早川北小学校 課外授業 BEANS
~自然科学者になろう!~

早川町は、平成26年に他の9市町村と共にユネスコエコパーク(※)に指定された。その中で本町は、人々が生活をし、自然環境の保全と調和した持続可能な地域モデルとなる取り組みが行われている地域(移行地域)にあたる。さらに、本町が平成27年に策定した『早川町創生総合戦略』に基づき、早川北小学校が、地域との関わりを強め、教育活動をより充実させる事を目的として取り組んでいる活動を紹介したいと思う。

BEANS、BEcome A Natural Scientists !自然科学者になろう!と題されたその取り組みは実にユニークで、既存の公立小学校とは一線を画すものがある。

早川町にある南アルプス生態邑(野鳥公園)の特色を活かし、早川北小学校と野鳥公園が合同で毎年挑戦している取り組みだ。対象は小学3年~6年までの児童で、それぞれが1年をかけて自分が掲げたテーマの研究に取り組む。もちろん一人では難しい事が多いので、そこは専門知識を有した南アルプス生態邑のスタッフがフォローし、一緒に作り上げていくイメージだ。

研究テーマは自由で、動物が食べる木の実の種類やけもの道など、個性的かつ独創的で地域の特色が反映されているものである。年度始めのガイダンスから始まり、夏休みを除く各月でそれぞれがフィールドワークに取り組み、中間に設けられたテーマ発表の後、年度末に1年の研究成果をまとめ、最終発表を行う。そうして、疑問→仮説→検証を行うことのできる力(科学的思考)を養うことがねらいのひとつだ。

研究発表会には、地域の方々や教育委員会をはじめとした教育関係者、野鳥公園スタッフ、町長や役場関係者も参加し、さまざまな角度から子供たちに研究結果への質問を投げかける。まるで小学生とは思えないクオリティのプレゼンテーションは、大変評価が高く、質問に対する柔軟な対応や的確な回答は少人数教育ならではの雰囲気が伺える。

子どもたちにとっては、研究発表会は大変なプレッシャーに違いないが、一所懸命に取り組む姿が微笑ましい。大自然に囲まれた早川町ならではの地域と連携した教育の発展を今後も期待してやまない。

※ユネスコエコパーク…生態系の保全と、自然と人間社会の共生を目的として始まった。地域の豊かな生態系や生物多様性を保全し学ぶと共に、文化的にも経済・社会的にも持続可能な発展を目指す取り組みである。