ここに花を咲かせましょう
「枯れ木に花を咲かせましょう」とは、民話『花咲かじいさん』に出てくるお馴染みの文句。正直で心優しい老夫婦と飼犬との不思議な物語の結末は、灰となり果てた飼犬の形見が、この老夫婦に思わぬ幸福をもたらせます。
この早川町には、枯れ木ならぬ耕作されなくなった休耕田に花を咲かせた物語が。昔ばなしや民話ではありません。舞台は京ヶ島集落。近所から分けてきた一株のハナショウブは、20年余りの歳月を経て、1反(10a)を優に超える、見事な花しょうぶ園と成長しました。手入れを続けたのは、主に笠井一二三(かさい・ひふみ)さんと齊藤嘉市(さいとう・かいち)さんの二人です。平成29年(2017年)からは、地元・京ヶ島集落の有志が実行委員となって、『花しょうぶ園祭り』を開催しています。噂を聞きつけた観光客の、付近を散策する姿も、珍しいものではなくなりました。
ともすれば、ぼうぼうの草ムラにもなり兼ねなかった。そこへ見事に花を咲かせたこの物語から、私たちは、どんなことを学ぶことができるのでしょうか。未来へ繋ぐ、今号はそのための〝まちつくり試論〟です。
早川の今昔をお届け! やまっこ探検隊! やまっこの冒険
No.06 早川南小学校 吹奏楽
早川南小学校は、昭和43年に本建小学校と五箇小学校が統合し、平成29年には創立50周年を迎えました。
吹奏楽活動は約50年続いており、読書活動なども盛んです。また、広い廊下や吹き抜け、さらには世界的に有名な指揮者が設計に携わった音楽ホールがあるなど、学校教育に沿った建築設計がされています。
今回は、早川町で生まれ育ち、お子さん2人が南小に通う井出さんにインタビューし、当時と今の南小や吹奏楽、町での暮らしについてお聞きしました。
当時の全校児童は60人程。当時も大人数とは決していえませんでしたが、金管楽器だけでなく木管楽器もあり、関東大会に出場するなど輝かしい記録を残しました。児童達は、関東大会出場という明確な目標があり、それに向かって日々練習に励んでいたそうです。
現在は全校20名になりましたが、全校で共に学び、遊んでいます。北小の児童とは、月1回上流研で開催している子どもクラブで顔を合わせ、山の遊びを知り、共に学ぶ場になっているとの事。取材当時、11月に開催され県内の小学校が披露する「バンドフェスティバル」や、6年生の最後の演奏の場で、下級生から感謝の気持ちが表される「ありがとうコンサート」に向けて週3日の練習が行われています。南小では、全校児童が楽器に触れ、音楽を皆で奏でる楽しさを味わうことができます。
井出さんは、9年前から早川町で一家で暮らしています。町外出身の奥さんに町の好きなところを聞くと、「空気がキレイで静かな所です。」だそうです。また、お子さんが伸び伸び生活できるところが喜ばしく思っています。学校だけでなく地域全体としても、お子さんが生き生きと暮らすことに協力的で育てやすいとの事。時代は移り変わっていきますが、歴史のある吹奏楽活動と南小をこれからも地域として応援していきたいです。