自然とともに暮らすことは、ある程度の不便と共に暮らすことでもある。そこで暮らす人々は、不便さを受け入れるのみならず、良いところを見つけ存分に楽しむことができるような、しなやかで力強い心が養われている。自然の中で暮らすと、都会では難しい、でも人にとって大切な「柔軟な心」が作られるのかもしれない。
笑顔が素敵な松永節子さんは、昭和28年に早川町内の角瀬(すみせ)集落から同じ町内の夏秋(なつあき)集落へお嫁に来て以来、この土地で暮らしてきました。
「今朝も絹さやを採ってきてね。ここらじゃ毎日、緑のしたたる野菜を食べてるの。」山に囲まれた夏秋を、節子さんはパラボラアンテナのように光を集める地形だと言います。南向きの斜面は日当たりがよく、冬の野菜もよく育ちます。夜霧朝霧がかかるのも、野菜がおいしく育つ秘訣だそう。
節子さん手作りのヨモギ団子をほおばれば、口いっぱいに太陽の香りが広がります。「おてんとうさん」に近くて自然いっぱいなのが、夏秋の何よりの自慢です。
〔取材:大久保 実香〕
サラリーマン自体に比べれば年収は減っているけど、ストレスが全くないっていうのは、やっぱりいいよね。笑って暮らせるっていうのは大事だと思う。お酒を飲んでも嫌な話は出てこない。
ここでの生活は、いろいろなことを含めて、自分でやると決めたらとしたら貫き通すしかない。気合いと根性。これは学生時代のバスケで培われたものだけど。
ただし、世間を知っていることももちろん大事。皆さんとの協調性を大切にしながら、自分らしさを出していければいいな。
硯の里キャンプ場 澤村義之さん
≪前の記事 暮らしに根付く信仰心
次の記事≫