生きる力/技と知恵 Blog Listing


“早川入り”と呼ばれる厳しい環境の中で身につけなければならないものが、「生きる力」である。それらは自然と身に付く時もあれば、必要に迫られて身に付くこともある。

生きることの根本は、自分で自分の面倒を見ること。早川で生きる人々は、生活を他人任せにはしない。それができければ生きていけない。早川に住む人は、静かだが力強いエネルギーを備え持っている。

 

早川町のマニアックな情報をお届けする情報誌「やまだらけ」。その取材・執筆に当たり、早川の魅力の虜となった有志が取材を振り返る中で、多くの人に伝えたいと思っている早川の魅力や山村の価値としての「生きる力」について、考えてみた。

 

鞍打:(早川に住む人には)とにかく「生きる力」がすごくある。災害に見舞われても、都会人のように大騒ぎはしないし、パニックにもならない。非常時にこそ、「生きる力」の真価が問われると思う。

石川:災害の時に都会の人間が買いだめなんかしてしまうのは、自分の手で生み出してないからだと思う。早川の人って何でも自分たちで出来て、人間としてのスペックが高いなって。

鞍打:その延長で、早川の人は「備え」ができていると思う。

小谷:防災訓練に出たら、本気だったのでびっくりしました。「初めてだったらやってみた方がいいよ!」って言われてホースの訓練をやってみたり。あと、「ここは使いにくいから、今度直す時にこう変えてもらおう。」って確認していたし。

鞍打:備えや段取りをしっかりしておかないと、こういう地域では暮らしていけない。買い物にすぐ行けるわけでもないから、例えば友達が来るときも、料理やお酒をどうするか、事前に考えたり準備したりしておかないといけない。でも、都会はそうした頭を使わなくても暮らしていけるようになっちゃってる。

 

中根:防災訓練を本気でやるのなんて当たり前ですよ! ただ、正直、自分たちの世代は早川に住んでいても田舎らしいことをしているわけではないので、『やまだらけ』に取り上げられるようなことはしっかり身に付けたいと思いますね。そうじゃないと、文化や歴史は根着いていかないと思います。

 

 

買うより作る、使い込む、再生する

鞍打:早川の人には、「使い込む文化」があるよね。研いで研いで小さくなった鎌とか。

大久保:私も茂倉集落で、畳のへりの布を取っておいて、カゴの補修とか腰紐とか他のものに使っているのを見てびっくりしました。

 

柴田:自分たちで作るからこそ、取っておいた物を活用できるのかもしれないね。

小谷:手間をかける文化っていうのもあると思います。

鞍打:近藤さんの、「買うより作る方が便利」っていうのもすごい言葉だよね。

小谷:確かに本当に欲しい物って探すとなかなか見つからないですよね。

鞍打:ノコギリの柄なんかも、みんな自分でぴったりの木を山から探してくる。

 

現代人は、何でも買うことが当たり前。直すより買った方が安い。それは「使い捨ての文化」と呼べるのかもしれない。一つのものを長く使うとか、形を変えて使い続けるということは意外でもあるし、知恵や技がなければ、やろうとしてもなかなか難しい。「まんのうがん」だからこそ、一般的な意味での「リサイクル」を越えたリサイクルが可能なのだろう。

 

やまだらけ50号「早川の価値再発見」