「道具を直しながら使う」ひと昔前の言葉になってしまった気がする。物が安価で溢れかえる安現代では、物が壊れても修理の方が高くつく、買い替えるのが当たり前という風潮すらある。早川の場合は少し違う。
「モノづくり」「道具のカスタマイズ」というテーマで忠紀さんという方に話を聞いた。
●自分で直す事がさらに良いものを生む
「壊れたものを直すのにパーツを買ってきたら簡単だけど、用途が決まっているからそのまましか使えない。だから、自分で新しいモノを継ぎ足しながら直す。」と忠紀さん。
刈払機だけではない。納屋にある多くの道具やハサミですらも、自分に合うものにしたいという想いで直しながら使っている。
→刃物のケース。刃物の柄は使いやすいように自作でカスタマイズされている。
●捨てる代わりに創造する
モノを捨てる際、早川町の人の脳裏に浮かぶのは、「捨てずに修理したり、つくり変えたりできないか」「修理したりつくり変えたりする時の部品にできないか」といった事なのかもしれない。忠紀さんの納屋の中にも、他で使われていたであろう、板や部品がいくつもストックされていた。
「改良を繰り返す。そうして一番いいと思うモノをつくる。それが醍醐味のひとつだ。」と忠紀さん。そこには、「あるモノをより良くする」という精神を感じる。
●修理する事は創造力を発揮する事
忠紀さんは、物を修理する時、どう修理するか想像をめぐらして、それを形にしていく事自体を楽しんでいる。今の時代、こういった創造力を発揮する場は極端に減ってきているのではないだろうか。早川の人は何も貧しいから修理するのではない。修理する事を楽しみ、手づくりしたものに囲まれた充足感を味わっているのだと思う。
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