68/温かい故郷の味 俊英さんの栃餅

温かい故郷の味 俊英さんの栃餅

「栃の実」をご存知ですか?栗に似て茶色くころんと丸い、つややかな美しいその実を。狩猟・採集により命をつないだ縄文時代、われわれの先祖はその実を大切な食糧として食べてきました。貴重なデンプン・タンパク源であったこの実は、渋みが強いためそのままではとても食べられず、口に入れられるようになるまでに、大変な手間を要します。食べること、生きることに大変苦労したその昔、何が何でもその実を食べたいとアク抜きの技術を確立した人間の執念は、美味しいものが気軽に食べられる現代からはあまり想像ができません。
縄文時代以降も、水田に適した土地が少ない山村では麦やアワ、キビなどと共に長い間食べられてきました。戦後まで栃の実を主食のひとつとしてきた地域もあるそうです。また、飢饉の際の非常食でもあり、トチノキは勝手に切ってはいけないものとして大切に守られてきました。
早川町内のいくつかの集落でも、栃の実を食べる習慣がありました。「栃餅」は独特の芳ばしい風味が特徴で、大人が好む味でした。「昔からおごっそう(ごちそう)のようだったよ」と今でも懐かしがる人がいます。
しかし、近代化による生活の変化の中で、つくり手は数える程になり、栃餅は滅多に口にできなくなりました。そんな栃餅をつくる習慣を、今でも脈々と受け継いでいる方から、その技術とこだわり、また栃餅への思いを聞かせていただきました。

 

おばあちゃんの試してレシピ31

柿の新たな味わいを楽しむ! 干し柿入りなます

甘いものが貴重だった頃、柿は子どもたちの大好物でした。しかし、近年は収穫されない柿をよく見かけます。今回は、そんな柿をもっと使ってもらうべく、柿の新しい楽しみ方を2つご紹介します。

1つ目は、お正月料理の「なます」。作りすぎて余ってしまったなますに、干し柿を加えてアレンジ。酸味と甘みが相性抜群です!2つ目は、柿と牛乳を混ぜるだけでできる、不思議でクリーミーな「柿プリン」。どちらも手軽に作れます。だまされたと思って、ぜひお試し下さい。

 

 

ー柿プリンー
材料(8カップ分)
柿……400g
牛乳…200cc
砂糖…大さじ2
グラニュー糖、又は上白糖

~飾り用(全て適量)~

ホイップクリーム
ミント

①柿を一口大にぶつ切りにする。
②飾り用の柿は、5mm角のサイコロ状に切る。
③ミキサーに①の柿、牛乳、グラニュー糖を入れ滑らかになるまで撹拌する。
④器に②を流し入れ、冷蔵庫で冷やす。
⑤固まったら飾り付け。八分立てにしたホイップクリームをのせ、飾り用の柿とミントを添える。

ー干し柿入りなますー
材料(4人分)
大根……1/4本(およそ150g)
人参……1/4本(およそ20g)
干し柿…2個
砂糖……60g
酢………150cc
塩………少々

①大根、人参を千切りにし、それぞれ塩揉みをし、出た水を切っておく(塩分を控えたい場合は、塩を洗い流してから水切りをする)。
②干し柿に包丁を入れ種を取り除き、平たくのばして、細切りにする。
③酢と砂糖を鍋に入れ、火にかける。砂糖が溶けたら、塩を加え、火から下ろす。
④①と②を混ぜた上に、③を注ぎ、よく馴染ませたら完成!