自然と共生する術を知る 早川の寒さが生んだ特産品 自然を見る目。活かす技。


全国各地に「特産品」と言われる商品がある。中には「この土地と何か関係がある?」と首をかしげてしまうものも見受けられる。確かに、技術や流通が発達した現代では、その土地ならではのものは少なくなってしまったのかもしれない。

●冬の風物詩「寒ざらし」

 西山地区の冬の風物詩である「寒ざらし(寒干し大根)」は、一年で最も寒いとされる1月の「寒中」に作られる。厳しい冬の寒さが、軒下に干されたダイコンを味も見た目も美味しくするのだ。
「去年は干した後に温かくなったから、白くならなかったけれど、今年は白くなりそうだ。」
と語る、西山のおばあちゃん。両親や祖父母と一緒に作りながら、「作り方」だけでなく「自然を見る目」もしっかりと受け継いでいる。

●独特な食感が絶品

寒ざらしの作り方を見てみる。まず、ダイコンの皮を剥いて2~3センチの厚さに輪切りにする。その後、茹でて一昼夜水にさらしてから、串に刺して軒下に干す。大根の中の水分が凍ったり、溶けたりを繰り返して乾燥していく。寒ざらしの煮物は絶品である。

 

 

 

 

●土地の特性を活かした特産品

西山地区は、早川町でも最北で標高の高い地区。当然冬は冷え込む訳だが、その寒さを利用した特産品が寒ざらしだ。その土地の特性を利用し、古くから作り続けられてきた、ごく自然な特産品だと言えるだろう。そこには、自然を読み、自然と共生してきた早川の人ならではの知恵が垣間見える。

やまだらけ39号「乾物の知恵と技」より>