先人の教えに希望を見る 見神の滝 不動明王を祀る滝


早川町役場から自動車で15分ほど走らせると、四季折々の美しい姿を見せる「見神の滝」に着く。

「見神の滝」とは、昔ここを訪れた、初代公選県知事の吉江勝保氏が命名し現在では広くその名が知られているが、それまでは「不動の滝」と呼ばれていた。落差は42メートルで幅3.6メートル(早川町第一位を誇る滝)、県内でも有数の名滝といわれている。

この滝の右側には鳥居がある。そこをくぐり鉄骨の階段を上がると、その上に岩をくり抜いただけの小さな祠がある。そこには、御神体である不動明王が祀られている。

不動明王とは、悪魔煩悩を調伏し、村を火災水難から守る大切な神様である。「酉不動」とも呼ばれ、酉年の守り神ともいわれている。

昭和37年の伊勢湾台風をはるかに凌ぐともいわれる昭和57年の台風では、当集落は電気や水道が止まるなど、大変な被害を受けた。そのような災害を経て、集落の酉年の人が発起人となり、「酉年会」を作り、長い間酉年生まれの方が不動明王を管理してきた。

近年では、人口減少や流失のために本村(ほんむら)集落をあげて毎年2回「お不動さん」のお祭りが行われている。地元の人々だけでなく観光客をも魅了している見神の滝。今後もその美しい滝と共に、安全・安心な暮らしが続くよう願う。

やまだらけ87号「見神の滝をみて、郷愁に浸る」より>