切り干し大根や干し椎茸は、その食感だったり旨味が強かったりする事から、今でも広く使われる。とは言え、乾物は広く普段使いされるものとは言い難い。そもそも大根にしろ、椎茸にしろなぜわざわざ干すのだろうか。今回は早川の乾物の世界を覗いてみる。
●貴重な食材を長く食べる工夫
春の山菜、秋のきのこ。畑で育てたダイコン、サツマイモ、サトイモ。そして、川で獲ったヤマメやカジカ…。早川町における「乾物」は、こうした貴重な食材を、「より長く食べるための工夫」から生み出された。
現在のように、冷蔵庫や冷凍庫がなかった頃のこと。手に入れた食材を残さず、無駄にせずに利用するために、天日干しにしたり、囲炉裏やかまどの熱や煙を利用したりして乾燥させていた。
●こんな物まで乾物に
囲炉裏やかまどが多くの家庭にあった頃、魚やヘビ、カエルを捕まえ食べきれなかった分を、串に刺して乾燥させて保存していた。
釣りに行くとビクいっぱいに獲れた「ヤマメ」や「カジカ」は串に刺し囲炉裏やかまどの近くや軒下に干して乾物にした。カリカリになったものをそのまま食べるほかに、出汁にもしていたそうだ。
ヘビで食べられていたのは、「アオダイショウ」、「マムシ」、「ヤマカガシ」、「スジナメラ(シマヘビ)」。普段の食事というよりも、健康食品的な意味合いで食べられていたようだ。
●山の恵みを豊かにする乾物
冷蔵庫や冷凍庫がある現代においては、保存のためだけに乾物にする必要は無くなってしまった。ただ、今でも食べ物を乾物にすることによって、より幅広く豊かに山の恵みを食す事ができるだろう。
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