山に入ることは危険も伴う。実際に狩猟中に亡くなった方もいる。だからこそ、山での銃の使い方や自然との向き合い方などは、グループの中で徹底的に教え込まれる。
昔から、狩猟は山で生きるために必要な知識や習わしが受け継がれていく伝承の機会でもあった。口頭ではもちろん、親や先輩の背中をみながら、精神力や生きる力が培われていったものと思われる。
●「山の神」信仰
早川町の集落の中には、山の神に関する風習が残っている地域がある。
人によって差異はあるが、山中で山の神の祠の前を通りかかると、緑の葉が付いた枝等を捧げ、手を合わせる祈りを忘れない。山と心の距離が近い者ならではの習わしだ。
“1発で獣を獲るように、徹底して若いのに教える。2発、3発撃てると思うと、人間、どうしても甘えちゃうからね。
犬が獣を完全に止めていて、撃つのに余裕がある時だったら頭を狙って撃つよ。肉が傷まないし、宴会で自慢できるからね(笑)。
それから、獲った肉は全部食べないかん。そうしんと、山の神様に申し訳ない。
たまに犬が山で獣を噛み殺しちゃったり、半矢(弾は当たったが致命傷にならない)で逃げた獣が山の中で死んだりして見つけられん時、ほんと山の神様に申し訳なくって、どうしたもんかと思うよ。”(かのし会 猟師)
参照:山人ルーツ(vol.0)
早川の人々の「たくましい生き方」の記録。
早川の生活文化を取り入れた、楽しく、豊かな暮らし方を伝えること。
人口減少や生活様式の変化によって昔ながらの暮らしが失われていく中、この2つの意味を込めて発行しています。
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